馬主税務情報
1:個人馬主の所得態様
馬主が個人である場合、馬主としての一連の経済的行為から生ずる所得は次のように区分されます。
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(1)
競走馬の保有に係る所得→事業所得又は雑所得
馬主が保有する競走馬が賞金や賞品を獲得し、又は負傷等による休養見舞金等の支給を受ける等、一連の金銭的収入に基づいて発生した所得をいいます。
また、競走馬の生産その他の競走馬の保有に直接関連する事業を営む者が、その事業のために保有している馬を競走馬として出走させたときは、それによって生ずる所得は当然本来の事業の事業所得になります。
(注)競走馬とは中央競馬又は地方競馬の競走に出走させるため保有している馬(登録馬)をいいますが、登録を受けるために調教中の馬、譲受人が地方競馬の登録を受けるため譲渡の際に中央競馬の登録を抹消した馬なども含まれる場合があります。ただし、種牡馬や繁殖牝馬は入りません。 -
(2)
繁殖牝馬又は種牡馬の保有に係る所得→事業所得又は雑所得
競走馬の登録を抹消し、所有権はそのままで牧場へ送って繁殖や種付けに使用している馬、及びそれから生まれた仔馬の売却に係る一連の所得をいいます。 -
(3)
競走馬等の譲渡に係る所得→譲渡所得
競走馬、繁殖牝馬及び種牡馬等の資産として保有している馬の譲渡により生じた所得をいいますが、仔馬の譲渡により生じた所得は前記(2)の事業所得又は雑所得に含まれます。 -
(4)
競走馬の事故見舞金に係る所得→非課税、事業所得又は雑所得
中央競馬馬主相互会が定める「競走馬事故見舞金支給規程」等に基づき、支給される見舞金に係る所得をいいます。
事故見舞金に係る所得については、以下のとおりとなります。
- イ:第1号、第2号及び第13号のいずれかに該当する事故により死亡した競走馬に支給される見舞金は、非課税となります。
- ロ:第3号から第12号に該当する事故により支給される見舞金は、事業所得又は雑所得となります。この場合の事故とは、骨折、脱臼、外傷又は腱断裂をいいます。
- ハ:また、第5号から第12号までは、後述する抹消給付金との併給が可能です。この「競走馬抹消給付金制度」(後述参照)により支給される抹消給付金及び併給される付加金は、事業所得又は雑所得となります。
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ニ:次の場合には、支払われた診療費の一部に対し診療費補助金が交付されます。この補助金及び装蹄費の補助金は、事業所得又は雑所得となります。
① 第1号から13号までの一に該当する場合
② 競馬会の施設内又は輸送中に眼病、鼻出血、心房細動、呼吸器病、蹄葉炎、フレグモーネ、疝痛、X大腸炎、熱射病及び日射病を発症した場合
③ 各種予防接種を受けた場合等 -
ホ:第17号から第18号に該当する事故により支給される見舞金は、事業所得又は雑所得となります。
(イ)抹消給付金の金額は、出走状況に応じて次のようになります。
①出走したことがある馬 800,000円
②出走したことがない馬 300,000円
上記①②にかかわらず、2021年1月1日から同年12月31日までに競走馬登録を抹消した馬の給付金の金額は次のとおりとする。
③出走5回以上の馬 1,200,000円
④出走3回以上4回以下の馬 1,000,000円
⑤出走2回の馬 650,000円
⑥出走1回の馬 400,000円
⑦出走したことのない馬 300,000円
(ロ)また、付加金の金額は、競走馬登録が抹消された時期に応じて次のようになります。
①3歳の10月31日以前であるとき 600,000円
②3歳の11月1日以降であるとき 360,000円
上記①②にかかわらず、2021年1月1日から同年12月31日までに競走馬登録を抹消した馬の付加金の金額は次のとおりとする。
③2歳馬 1,000,000円
④2021年4月23日以前に抹消する3歳馬 1,000,000円
⑤2021年4月24日以降6月4日以前に抹消する3歳馬 950,000円
⑥2021年6月5日以降7月23日以前に抹消する3歳馬 600,000円
⑦2021年7月24日以降に抹消する3歳馬 450,000円
⑧4歳馬 700,000円
⑨2021年6月4日以前に抹消する5歳馬 700,000円
⑩2021年6月5日以降に抹消する5歳馬 300,000円
⑪6歳以上の馬 150,000円
(ハ)しかし、以下のいずれかに該当する場合は支給を受けることはできません。
①競走馬登録を受けている間に入厩していた日数が通算60日未満の馬
②過去に、見舞金第16号、抹消給付金又は抹消給付金付加金の支給を受けたことがある馬
③競走馬事故見舞金第1号から第4号又は第13号のいずれかを受ける馬